【コラム】長野県高校入試の出題範囲

昨年から続く新型コロナウイルスの影響で、

今年度の長野県高校入試はどうなるだろうか?

 

県PTA連合会や全佐久PTA連合会で、

長野県教育長に会う機会が数回あった。

その際に、PTAとして、

少なくとも罹患者や濃厚接触者が、

受験の際に不利にならないようにお願いはしてある。

県教育長からも、

対応もしっかりと考えているという返事もいただいたので、

そのあたりはそう心配には及ばないだろう。

 

ただ、少し気になっているのが、

学習進度が間に合わないなどの理由から、

各県から高校入試における学力検査の範囲縮小が

発表されていることだ。

長野県の場合をひと通り見ていく。

 

国語は中3で学習する書写に関する部分が、

範囲から削除されている。

現実的な問題はさほどない。

 

数学は、三平方の定理と標本調査。

標本調査についてはほぼ独立した学習内容なので、

問題はないと思われる。

大きく関わってくるのは三平方の定理の削除だ。

こと、問題を作成するにあたっては、

面積・体積・空間図形全般、

合同・相似・長さ・角度・・・

はては関数や確率にもその影響範囲がおよぶ。

 

そもそも高校入試というのは、

特に数学という教科においては、

持ちうる知識を横断的に使用することができるか?

ということが、いわゆる難易度に関わってくることが多い。

しかも数学で厄介なのが、

解法が複数ある場合、

つまり、三平方の定理を知らなくても、

別の解法で答えを導き出せる場合、

その問題を出すことができるという点だ。

 

そう考えたとき、ある判断を迫られる。

長野県高校入試に出題されないからといって、

三平方の定理の学習をしなくてもよいのか?

ということだ。

いや、当然ながら中学校としては学習をしなければならない。

そうではなくて、

高校入試レベルの問題に対応できるだけの熟練度を、

必要とするか否かということだ。

 

一般的な学習塾では、

その熟練度を上げる時間を確保するため、

最低でも1月中旬までには、

教科書の内容を終わらせるところが多いはず。

ところが今年度に関しては、

高校入試において得点をするという単純な目的であれば、

三平方の定理の熟練度を上げる時間を、

別の学習に回したほうが良いという考え方が成り立つ。

一方で三平方の定理の熟練度を上げておいたほうが、

多用な解法を利用できるから得であるという

考え方もできるだろう。

 

私の基本的な考え方は、

高校入学後に、学習に負担をかけすぎないで、

充実した高校生活ができるだけの学力をもっての

高校入試・高校進学なので、

そういう意味では、三平方の定理は学習する一択なのだが・・・。

 

話が少しズレた。

他の教科も確認しておく。

社会は市場の働きと経済・国際社会が削除。

具体的にピックアップすると、

需要と供給の話や金融のこと、

そして国際連合については出題されないといったところか。

これも実は困った話で、需要と供給の学習がないと、

江戸幕府5代将軍綱吉のころの貨幣改鋳の話や、

昭和における金融恐慌の話が、

よくわからないままになってしまう可能性がある。

出題されないからといって無視できるものではない。

 

理科。

様々なエネルギーと環境については削除。

もちろん位置エネルギーと運動エネルギーは出題範囲。

あと天体のうち月の運動は出題されない。

とはいっても、月が出題されないだけで、

当然ながら天体の大部分は出題される可能性がある。

今までの長野県高校入試を見てみる限りにおいては、

ほとんど高校入試を作成するにあたっての問題点はない。

 

英語は最後の読み物の単元が削除されている。

が、文法的内容についてはいつもどおりといっていい。

さして問題点があるとは思えない。

 

以上、5教科すべての確認をしてみたが、

数学以外は、

高校入試を作成する側にストレスはないように思われる。

強いて言えば、社会が少し問題を作成しづらいかもしれない。

特に、大問4にいつも出題される部分が、

歴史や地理によってしまうぐらいか・・・。

 

先に述べたように、

出題する側にとっては、

それほど大きな変更はないかもしれないが、

これらの削除は、実は高校入試を受ける側に、

その受け止め方の多様性を強いている。

 

心に余裕がないばっかりに、

1m先の1万円にとらわれて、

100m先の100万円を見逃すことがないようにしたい。

ちなみにこの100万円の例は、

もう随分昔に、高校1年生が中学3年生に、

語ってくれた例え話だ。

 

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